我が家は常にとっ散らかっている。
元来、私が整理下手だからだ。
見える範囲はきれいになっても、2階の部屋にモノが移動しただけだ。
頼みの妻は心身ともに不調で、時々身の回りを片付けるのが精いっぱい。
ADHDと言われている息子もまた、片付けるということを知らずに小学校生活を送っている。
ADHDのせいにしたが、家庭環境に影響を受けたと言われても文句は言えない。
1学期のある朝、たまりかねて私が「登校」することにした。
連絡帳は出したきり1週間も戻ってこない。
筆箱の鉛筆も減ったり増えたりを繰り返している。
そしてついに、息子の携帯電話まで行方不明になってしまった。
家宅捜索が必要だ。
8時前の教室に乗り込むと、意外にも担任の先生がスタンバイしていた。
事情を話し、恐縮しながら机やロッカーをひっくり返すが、携帯電話は見つからない。
その一方で、紅白帽や大きな消しゴム、昨日お昼の牛乳など、お宝がザクザク発見される。
大丈夫か息子。
いや大丈夫じゃないよ。
こうなれば最後の手段だ。
騒がしい教室で通用するかどうか不明だが、息子の携帯電話を鳴らしてみる。
しかし、教室で電話が鳴っているふうはない。当然、誰も出ない。
15秒ほど鳴らしただろうか。
諦めて電話を切ろうとしたところ、なぜか画面に「通話中」の文字。
誰が出た!? 同級生か?
あわてて電話を耳に当てる。
「本棚にあったよ」
自宅にいる妻が出た。
ああ、どこまでも片付かない我が家。
さて、その日の夕方。
16時半ごろ「校門通過」のメールが飛んできた。
「16時に全員下校」という約束からすると遅いが、事情はどうあれ、これまで学校にいたのだからひとまず安心だ。
しかし、いっこうに息子は帰宅しないという。
心配して妻が私にメールしてきた。
「17時10分のバスで帰ってくるんじゃない?」
平静を装って返答するが、内心私も心配だった。
友達とふざけながらバス停まで行き、バスをちょうど1本逃したとすればこの時刻になるか。
いやアイツは、いつものバスを逃すと違う系統で帰ってくるから、こんなに遅くなるはずは…
こんなとき、伝家の宝刀「イマドコサーチ」の出番である。
GPSでキッズケータイの現在位置を検索できる機能だ。
1回5円かかるので極力使わないようにしているのだが、今日は5円分の価値があると思った。
ドキドキしながら検索結果を待つ。
――出た。
あれ?もう自宅のすぐ近く!?
とっさに考えた。
自宅近くまでは帰ったが、路地裏で猫と遊んでいるのか。
あるいは隣の家の子とバッタリ会ったのか。
それとも…
1分ほど考えて謎が解けた。
電話機の現在地は、本棚。
嗚呼。
読めるけど書けない。
この失望感をどう妻に伝えようか。
そう思っていたらメールが来た。
息子はバスで寝過ごし、1kmほど歩いて帰ってきたそうである。
脱力。乗車時間5分で器用なことをするものだ。